犬ダニ
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マダニ って何?マダニが犬に感染するとどうなる?

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更新日

 
執筆:碧井 香 (獣医師・獣医学博士)
 
 
マダニ感染症の原因となるマダニとはそもそもどのようなものなのでしょうか?
マダニ について詳しく説明しようと思います。
 

マダニ とは?

 
マダニはダニの一種です。ダニ類は頭部(体部)と腹部からなり、幼ダニの頃は腹部から3本ずつ合計6本の脚が生えています。大人(成ダニ)になると左右4本ずつの合計8本になります。動物に寄生するダニの多くは表や皮膚に寄生します。
ダニを含め寄生虫が寄生する対象はなんでもいいというわけではありません。このダニはに寄生する、このダニはに寄生するという風に各々のダニの種類により寄生する動物が決まっています。それを宿主特異性と言います。
 
犬にしか寄生しない特異性を持った寄生虫もいれば、犬にもネコにも他の動物にも寄生するという広範囲の宿主を持つ寄生虫もいます。寄生する範囲は寄生虫によって様々です。また、寄生部位も決まっています。犬ならばどこでも寄生するというわけではなく、犬の体表にくっついて寄生するもの、皮膚に入り込んで寄生するもの、中には体内に寄生するものなど、それぞれ寄生する部位が決まっています。
 
マダニ類には多くの種類があり、宿主特異性は厳密ではありませんが、それぞれに特色が見られます。犬によく寄生するマダニ類はツリガネチマダニ、クリイロコイタマダニ、フタトゲチマダニ、キチマダニなどが知られています。
 
これらのマダニ類は卵から孵化した後、幼ダニ、若ダニ、成ダニと成長していきます。成長段階で幼ダニから成ダニまで同じ動物(同一宿主)に寄生する形態をとるもの、成長の途中で宿主を変えるものなどマダニの種類によって寄生の仕方が異なります。寄生したマダニは吸血して栄養を得ます。この時にかゆみが生じます。
 
 

マダニ感染が犬と飼い主に与える影響

 
マダニが生きていくためにはマダニの好む動物に寄生して吸血と脱皮を繰り返さなければなりません。マダニは犬の体表に寄生し吸血します。犬はこのときに痒みを感じたり、刺激で落ち着きがなくなったりします。の間に寄生すると歩行が困難になったりする場合があります。吸血の際にマダニが犬の体内に注入する成分により麻痺を起こすことがありますが、日本での報告はありません。
 
原虫、細菌、リケッチアなどの病原体をマダニが体内に保有していることがあります。
これらの病原体に寄生されているマダニ自体には病原体の影響はありません。マダニの体を使って病原体が運ばれるのです(媒介する)。このようなダニ媒介性の疾患がいくつかあり、他の病原体を保有しているマダニに吸血されると、マダニ感染症のみならず、その病原体による病気を発症する危険性があります。
 
ピロプラズマ類の原虫が寄生しているマダニが犬を吸血するときに原虫や原虫の卵が犬の体内に入り込みます。ピロプラズマ類は、バベシア類とタイレリア類に分けられ、いずれも血液中に寄生する住血性の寄生虫(原虫)です。赤血球に寄生すると赤血球が破壊され貧血になったり、様々な症状が生じます。原虫の人への感染例は日本では報告されていません。
 
マダニが媒介するヘパトゾーン症はヘパトゾーン類の原虫が犬の好中球に寄生する病気です。マダニの吸血により感染するのではなく、ヘパトゾーンを保有するマダニを犬が食べてしまうと、原虫が体内に入ります。毛づくろいの際や、お散歩中に草などと一緒に摂取すると考えられます。人への感染は報告されていません。
 
ライム病の原因細菌はマダニによって媒介されます。マダニに吸血されるときに感染が起こります。人にも感染することがあります。治療には抗生物質を用います。
 
Q熱の原因となるリケッチアもマダニによって媒介されます。人にも感染します。治療は抗生物質で行います。
 
野兎病の原因細菌もマダニによって媒介されます。犬や人のほかに猫など多くの動物に感染します。罹患動物との接触によっても感染することが報告されています。
治療は抗生物質で行います。
 
 

マダニへの対応、治療法

 
マダニは感染を予防することが一番です。マダニの生息する場所や草むらにむやみに入らないことが理想ですが、どこにマダニがいるのか分かりにくいのも確かです。動物病院ではマダニ感染予防薬を処方してくれます。このような薬はマダニだけではなく、ノミやシラミなどにも有効なことが多く、また感染してしまっても駆除薬としての作用もあります。薬の効果は約1カ月ですので、獣医師の指示を受けて、定期的な投与を心がけましょう。
 
マダニに寄生されてしまった場合には、駆除薬を用います。マダニは頭部(顎体部)と腹部に分かれているので、吸血した状態でマダニをつまむと頭部(顎体部)だけ体表に残ってしまうことがあるので、注意しなければなりません。

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